女の子の健やかな成長を祝うひな祭りですが、歴史を知っている方はまだまだ少ないようです。ひな祭りの始まりは、中国の漢時代に遡ります。中国のある家に、三人の女の子が生まれましたが、不幸な事に三人とも三日以内に死んでしまいました。哀れに思った近所の人が三人の遺体を酒で浄め、川に流しました。古代中国では三月最初の巳の日に、水で手足を洗い身を清める事で災いを免れる風習が出来、日本にひな祭りが入ってきたのは平安時代になってからです。
しかし、今のような雛人形を壇に飾るようになったのは江戸時代頃からで、それまでは紙で作った人形を川に流して災いを払う「流し雛」が主流でした。「おひな祭りが終わったらすぐ片づけなさい」「片付けるのが遅いと嫁に行き遅れる」といった言い伝えも、一日で川に流された流し雛の名残と言われています。
最近では、桃の節句にお客様をお招きしたり、お呼ばれに行く風習がなくなりつつありますが、是非現代の子どもたちには、ひな祭りを通してお客様をおもてなしする心、お呼ばれするときの礼儀作法を身につけてもらいたいものです。そして、ひな祭りの歴史や意味を次の世代へと語り継いでいって欲しいものです。この美しい風習が絶えぬ事を願います。